5.上手な申請の仕方について知りたい

『小規模事業者持続化補助金』の場合

翌年以降の申請も意識する

『小規模事業者持続化補助金』は、1回通って終わりではありません。制度が続く限り、あるいは、制度が変わらない限り、翌年も申請することが可能です。

しかし、前年と同じ内容では申請に通りません。過去に採択された取り組みと同じ又は類似の取り組みは、採択されないことになっています。

そこで、翌年以降の申請のことも考えて、申請のタイトルや内容を工夫する必要があるのです。

『加点審査』の基準に丁寧に答えていく

「ウェブサイトを作ってウェブ集客を実施します」

この内容で申請すると、翌年以降、「ウェブサイトを作ってウェブ集客をする」ことについては、もう申請できないことになります。

「〇〇というキャラクターを作って、それをPRします」

この内容で申請した場合、翌年、「ウェブサイトを作ってウェブ集客をする」ことは問題ありません。

『人材開発支援助成金』の場合

『訓練カリキュラム』を上手に作る

とってもお得な『人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)』ですが、従業員に『訓練日誌』を書かせて、最後に提出する必要があります。

『訓練日誌』の作成は面倒ですが、その作成が大変になるか簡単になるかは、『訓練カリキュラム』が上手に作れているかが大きく影響します。

カリキュラムのバランスが大切

例えば、飲食店でキッチン担当を訓練するとしましょう。

「仕込み」というタイトルで日誌を書くのは大変です。毎日「仕込み」はあるはずで、毎日同じような内容になってしまい、何を書けば良いのか、だんだん分からなくなってくるでしょう。

「豚肉の仕込み」「牛肉の仕込み」などのように、適度に細分化されていたら、従業員の方も書きやすくなります。例えば、部位ごとにどういうことを気を付けるかなどを書きやすいのです。

ただし、「牛ヒレの仕込み」というような細かすぎるカリキュラムでは、カリキュラム自体が膨大なものになってしまい、実施する会社も、日誌を書く従業員も大変になってしまいます。

日誌を作成する際のことも考えて、上手なカリキュラムを作らなければなりません。

『キャリアアップ助成金』の場合

『正社員化条項』をしっかりカスタマイズする

『キャリアアップ助成金(正社員化コース)』を実施するためには、就業規則などに『正社員化条項』を盛り込まなければなりません。

ただし、『正社員化条項』のサンプルは、助成金のパンフレットなどで公開されています。それをコピペするだけで、『正社員化条項』の準備だけなら終わってしまいます。

しかし、コピペしただけの『正社員化条項』は、実施が一番面倒といってもおかしくないものになっています。必ず、会社の実態に合わせてカスタマイズして導入するようにしましょう。

第○条(正規雇用への転換)
勤続○年以上の者又は有期実習型訓練修了者で、本人が希望する場合は、正規雇用に転換させることがある。
2 転換時期は、原則毎月1日とする。ただし、所属長が許可した場合はこの限りではない。
3 人事評価結果としてc以上の評価を得ている者又は所属長の推薦がある者に対し、面接及び筆記試験を実施し、合格した場合について転換することとする。
必要のない部分をしっかり直す
  • 『勤続〇年』という表記は、『勤続6か月以上』に書き換えます。
  • 『面接及び筆記試験』の場合、両方を絶対に実施しなければなりません。『面接又は筆記試験、あるいはその両方』という記載に直します。そうすれば、原則面接だけでOKです。
就業規則を上手に導入する

『キャリアアップ助成金』を使うなら、一般的には『就業規則』を導入することになります。

ところで、「就業規則を依頼する」となると、20~30万円ぐらいの支出がかかると思っている事業者も少なくありません。しかし、法律で求められている最小限の内容を作るだけなら、実は30分ぐらいで作成できてしまうのです。

しかも、就業規則がない状態に比べれば、よっぽどリスクも削減されているのです。会社のリスクを削減するために、基本的な雇用管理について、就業規則の導入と合わせて整理しておきましょう。

絶対に書くべき内容必要なら書く内容
  • 始業及び終業の時刻
  • 休憩時間、休日、休暇
    ※交替制ならその旨
  • 賃金の決定、計算及び支払の方法
  • 賃金の締切り及び支払の時期
  • 昇給に関する事項
  • 退職に関する事項
  • 解雇事由
  • 退職手当
  • 賞与等の臨時の賃金
  • 最低賃金
  • 食費、作業用品などの負担
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰、制裁に関する事項
  • その他全労働者に適用される事項
『必要なら』の意味を理解する

『必要なら書く内容』(通常、『相対的記載事項』と呼ばれています)は、書かなければ効果を持たない内容です。書かなければリスクになるような場合だけ、書いておくようにしましょう。

例えば…

賞与の記載がないのに、一部の人に賞与を与えて、一部の人に与えなかった場合。これは不公平な待遇なので、問題になります。

しかし、以下の内容が就業規則に書かれていれば、問題になりづらくなります。

  • 「どういう場合に賞与を与えるか」という内容
  • 「会社の経営状況や部門の状況により与えない可能性がある」という内容

この場合、賞与を支給しなくても問題ありませんし、また、与える人と与えない人が発生しても問題ありません。

制度の上手な組み合わせ方

1.人件費の補助で組み合わせる
  • 創業補助金/事業承継補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 人材開発支援助成金

この3つの制度は、全て、人件費補助の仕組みがあります。時給1000円の方については、3分の2~4分の3程度の補助が受けられる可能性があります。

なお、同じ人に対する人件費補助を、同時期に二重に受け取ることはできません。しかし、時期が違えば、複数の制度を使うことが可能です。

2.ウェブ・集客施策で組み合わせる
  • 創業補助金/事業承継補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス補助金
  • 人材開発支援助成金

多くの補助金で、ホームページ制作・インターネット広告の補助があります。通常、制作費・広告費の3分の2が補助されます。

さらに、ホームページは、作っただけでは機能しません。記事を増やしたり、広告を上手に運用して、初めて機能します。そこで、そのための外部研修を従業員に実施するために、人材開発支援助成金が使われるケースは少なくありません。

3.店舗のリニューアルオープンや新規事業

店舗をリニューアルオープンする場合や、新規事業を展開する場合、改装費やウェブ施策・地域への案内の配布など、総合的に取り組まなければなりません。

この場合、費用のかかる改装費やウェブ施策については、社内ベンチャーのような形で立ち上げ、創業補助金・事業承継補助金、そして、地域の補助金などを活用します。そして、比較的安価に済む各種広告費は、『小規模事業者持続化補助金』で申請するとお得です。

通る『計画書』の作り方

『審査基準』と『加点審査』

補助金の計画書は、『事業計画書』に関する本を買ってきて、その通りに丁寧に作成しても、実は簡単に落ちてしまいます。

どんなことを書けば通るのか。それは、公募要領に書かれている『審査基準』や『加点審査』の内容をしっかり書くことなのです。

『小規模事業者持続化補助金』の加点審査
  • 自社の経営状況分析の妥当性
    • 自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか
  • 経営方針・目標と今後のプランの適切性
    • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
    • 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
  • 補助事業計画の有効性
    • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
    • 地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
    • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
    • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか
  • 積算の透明・適切性
    • 事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか
『加点審査』の基準に丁寧に答えていく

『小規模事業者持続化補助金』は、「持続化のための集客の策を補助する」ものです。そこで、「どうしてその取り組みをするのか」、「どうしてその取り組みが有効なのか」、「どういう効果があるのか」ということについて、丁寧に説得しましょう。加点審査の内容に1つずつ答えていけば、自然とマーケティングプランが出来上がるはずです。

常に『革新性』を意識する

補助金は、助成金と異なり、出せば通るというものではありません。他社の計画よりも優れていなければなりません。

そして、「他社の計画よりも優れている」と言えるかどうかを審査するのは、『革新性』です。独自性や珍しさ、有効性を総合的に『革新性』と呼ぶイメージです。

どういう計画なら『革新性』が認められるのでしょうか。それには、『ものづくり・商業・サービス補助金』の審査基準が参考になります。

※公募要領から一部抜粋

技術の内容実現可能性
  • 開発課題が明確か
  • 達成度の考え方が明確か
  • 課題の解決方法が明確かつ妥当か
  • 優位性が見込まれるか
  • 体制及び技術的能力が備わっているか
  • 体制(人材、事務処理能力等)が適切か
  • 市場ニーズにあっているか
  • ユーザー、マーケットが明確か
  • 市場規模が明確か
  • 価格的・性能的に優位性や収益性があるか
  • 事業化の遂行方法が妥当か
  • スケジュールが妥当か
  • 費用対効果は高いか
「こういうことを実現する」から逆算する

行政庁が、単なる「欲しい」「やりたい」に予算を浪費するわけにはいきません。一番書くべき内容は、「だから、この取り組みは成功する」ということです。

どんなユーザーが、どんなマーケットにいるのか。どれぐらいの売上・利益につながる予定なのか。根拠を含めて、丁寧に記述しましょう。

また、何がポイントとなって、競合に対して優位性が保てるのかについての記述も必要です。利益・費用対効果も、根拠をもって丁寧に試算しておきましょう。

『根拠』で求められるレベルは補助金額に比例する

『小規模事業者持続化補助金』は、小さい事業者が、手軽にいろいろチャレンジして、持続化を図るための補助金です。

そのため、願望に近い試算であっても、取り組み内容が明確で、ある程度の説得力があれば、十分採択されます。

一方、『ものづくり・商業・サービス補助金』は、元々の投資額が大きいです。設備投資計画などを、しっかり作っている事業者も少なくありません。

そのため、相対的に、計画書の要求水準が高くなります。願望に基づくレベルの資料では、採択されないと考えてよいでしょう。

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