『雇用契約書』(又は『労働条件通知書』)に記載すべき事項を考える

助成金に関わっていると、雇用契約書や就業規則に触れる機会は多くなります。

そして、雇用契約書を見て、愕然とすることが多々あります。

なんと、法律で定められていることを満たしていない『雇用契約書』(又は『労働条件通知書』※以下『労働条件通知書』については省略)が多いのです。

『雇用契約書』に記載すべき事項

労働基準法第15条では、『雇用契約書』に記載しなければならない事項について、以下のように述べています。

(労働条件の明示)
第十五条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

こんなにザックリ3つ書かれていても、「うちの雇用契約書には、賃金についても労働時間についても書いてある」と言われてしまうことが多いかもしれません。

ただ、実は、この中身はもっと細かいものとなっています。(参考)<厚生労働省令

労働契約の期間 / 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準 / 仕事をする場所 / 仕事の内容 / 仕事の始めと終わりの時刻 / 残業の有無 / 休憩時間 / 休日・休暇 / 就業時転換 / 賃金の決定 / 計算と支払いの方法 / 締切と支払いの時期 / 退職に関すること

さぁ、御社の『雇用契約書』は、どこまできちんと書かれているでしょうか。

記載内容の練りぐらい

「全部きちんと書かれていた」という方もいるかもしれません。

ただ、問題は、単に書かれていればいいというものではないということなのです。

単に事実を羅列していくのではなく、「会社が運用しやすいように」「会社をリスクから守れるように」、きちんと練って文章化していく必要があるのです。

休憩は自由じゃない

例えば、休憩の取り方について考えてみます。

もし明確に休憩の時間が書かれていたら、その時間で休憩を取らさなければなりません。

ただ、現実には、「12時から1時は絶対に電話を取り次がない」と決めているような職場以外、休憩時間を毎日同じタイミングで取るなんて、簡単なことではないはずです。

それは契約に基づき、双方が拘束されています。

それを会社が、会社の一方的な都合で柔軟に取ってもらうことにしたら、それでいちいち文句を言う人は少ないと思います。

それでも、当初交わした契約を、違反していることに変わりはありません。

問題は裁判で

このことは、従業員とトラブルになったら、重く響いてきます。

つまり、「会社の契約違反が、常態化していた」と認定されてしまっても、おかしくないということになるのです。

こうなると、裁判は不利に進んでしまうでしょう。

対策は簡単

この対策は大変ではありません。

休憩時間のところに、「業務状況によって変更する可能性がある」ことと、「変更する基準」などを書いておけばいいのです。

これはイメージしやすい例を挙げました。

しかし現実に、「書いておけばいいのになぁ」と思う項目・内容は少なくありません。

文章にもこだわる

他にも、「文章をしっかり練ればいいのに」と思うことは少なくありません。

例えば、「療養の必要がある場合には休職させる」と書くよりも、「療養の必要があると会社が判断した場合には休職させる場合がある」と書いた方が、会社にとって有利です。

『療養の必要』があるかないかについて、正しく判断することは、簡単ではありません。

休職療養させたにも関わらず、裁判で「療養の必要がなかった」と認定されてしまったら、不当な休職処分があったことになってしまいます。

しかし、『療養の必要があると会社が判断した場合』と書かれていれば、話は変わります。

仮に、現実には「療養の必要は結果的にはなかった」場合でも、会社が「療養の必要がある」と判断してもやむを得ないような事情があるような場合なら、会社の『判断』は尊重されます。

『うつ病』『悪意のある従業員』対策が重要

会社にとって重要なことは、「業務が滞らないこと」と「無駄な支出がないこと」です。

仮に、精神疾患などで業務が滞るような場合があれば、そのような業務から外したり、場合によっては休職させられるような仕組みにしておく必要があります。

また、疾患の回復の見込みがない場合や、悪意をもって会社に入社してきたような場合には、速やかに退職してもらうようにする必要もあります。

そのための手段が、『休職条項』と『退職・解雇』に関する条項です。

人によってバラバラに適用すれば、それこそ会社側の『権利の濫用』や『パワハラ』『不当な退職勧奨』と判断されることになります。

そうならないように、きちんとルールにしておいて、ルール通りに運用していく必要があるのです。

よくあるひな型はこういう視点では作られていない

労働局などが配布しているひな型は、基本的には従業員の権利を守るために作られています。

「会社を守る」という視点では作られていません。

ですから、会社は会社で、会社を守るための『雇用契約書』を、きちんと構築して、従業員に交付する必要があるのです。

慣れていれば簡単なことです。

しかし、法律や裁判の仕組みについて詳しくなければ、そのような作り方はできません。

もし、きちんとリスク対策をしたいと思ったら、ぜひ気軽にご相談ください。

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