『正社員』とは何か、きちんと説明できますか?

はじめに

『キャリアアップ助成金』という制度があります。この助成金を使えば、例えば、非正規の従業員を正社員にすることで、1人あたり通常57万円が、国から支給されます。

ただ、経営者の中で、「”正社員”が何か」について、きちんと分かっている人は、ほとんどいません。雇用に関する話をする時は、毎回その説明からスタートします。

経営者がよく言うこと

・フルタイムで働いているから正社員です
・社会保険に入れているから正社員です
・月給制にしているから正社員です
・うちには正社員しかいません

実は、このどれも、1つ1つでは、従業員が”正社員”であるとは断定できません。

法律では・・・

法律では、”正社員”が何かについてきちんと説明したものは、1つもありません。

労働条件の定め方について書かれている法律は、主に”労働基準法”と”労働契約法”があります。そのどちらにも、”正社員”が何かについて、明記されていません。

要素の分析

フルタイムの従業員

フルタイムというだけでは、正社員とは言えません。フルタイムで働いているアルバイト、フルタイムで働いている契約社員がいるからです。

社会保険に入っている従業員

アルバイトでも、ある一定時間以上の勤務があれば、社会保険に入れなければなりません。つまり、社会保険に入れているから、正社員であることにはなりません。

月給制の従業員

アルバイトの月給制はあまり聞きませんが、アルバイトを月給制にしても問題ありません。また、契約社員は月給制であることが多いかと思います。つまり、月給制だとしても、正社員ということにはならないのです。

正社員しかいない

その「正社員が何か」が問題です。全員正社員と思っていても、法律的にはアルバイト・契約社員と評価すべき場合も、少なくありません。

実務における正社員

原則としては、以下が全部揃っていて、初めて正社員であると言えます。

・雇用期間の定めがない
・フルタイムである
・正社員である旨書かれた雇用契約書がある

この全部を満たした場合、実務では正社員と呼びます。

雇用期間の定めがない

雇用期間の定めがないだけでは、正社員とは言えません。『無期契約の社員』という枠組みがあるのです。

フルタイムである

フルタイムのアルバイト・契約社員もいますし、また、『短時間正社員』という制度もあります。ですから、フルタイムでなくても、『正社員』にはなりうるのです。

正社員との記載がある

雇用契約書に、『正社員』『正規雇用』という文字が書かれていれば、『正社員』であるという証拠になります。一方、書かれていなければ、『正社員』であることを証明する書類は、世の中のどこにもないことになります。

助成金をきっかけに再検討

これまで書いたように、正社員かどうかは、実務的には非常に難しい話です。

「社員」と呼んでいたため、”正社員化”の助成金を諦めていたというケースもよく聞きます。このような場合でも、ハローワークに問い合わせた結果、申請できて、支給されたという話も聞きます。

正社員だと思って雇っていたが、実際にはフルタイムでなかったり、雇用期間の定めを置いてしまっていたりしているケースは、多くの中小企業で少なくありません。もしかしたら、もらえる助成金があるかもしれません。

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